緑の光線

Top Page › 映画のこと › 「叫びとささやき」
2010-06-09 (Wed)  08:34

「叫びとささやき」

「叫びとささやき」  Viskningar Och Rop 1972年 スウェーデン
 監督:イングマール・ベルイマン
 出演:イングリッド・チューリン、ハリエット・アンデルソン、リヴ・ウルマン、カリ・シルバン
この映画を最初に見たのは、おそらく20年近く前。
前回も書きましたが、「寒い」「暗い」という印象しか残っていなくて、
ストーリーは、全く記憶にありませんでした。
 
そして、今回改めて見てみたのですが、
確かに「暗い」です。
この映画を「好きだ!」という人はそんなにいないかもしれません。
決して明るい気分になれる映画ではないから・・・
そして、「寒い」という印象も当たっていました。
だけど、この映画で、まず目を引くのが、邸宅の内装なのです。
なんと、赤一色なんです。絨毯も、ソファーも、壁も・・・・・
あの赤はなんと表現したらいいのでしょう。
血のような赤、でしょうか。(おそらく、監督は、「血」を意識したのではないかと思う)
そして、場面が変わるごとに、スクリーン全体が真っ赤に染まるのです。
とにかく、この映画は「赤」なんです。
(私は、この「赤」のことも、全く印象に残っていませんでした)
 
なのに、なぜ「寒い」と感じるのか・・・
それは、血のつながり、血の通ったぬくもりが、感じられないからだと思います。
 
これは3人姉妹のお話。
次女のアグネス(私が見た映画の字幕は「イングネス」と表記されてました)は、病に侵されていて
死期が近い・・・時々耐えられないほどの苦痛が彼女を襲います。

そこに、長女カーリンと妹のマリアが尋ねてくるのですが、
うわべでは、心配しているように見えて、どこか冷たいのです。
ほんとうに苦しんでいるとき、心の底から
「彼女の苦しみを取り除いてあげたい」という気持ちが
感じられない、血のつながりが感じられないのです。
(だから、余計に、赤の内装が寒々しく感じられるのかも・・・)
なぜなら、カーリン、マリア、ふたりとも、幸福ではないから・・・
 
唯一、アグネスに献身的に寄り添うのが、召使のアンナ。
アンナは、アグネスが耐えられないほどの痛みに苦しんでいるときも、決して逃げることなく、
自分の肌でもって、アグネスを慰めようとします。
その姿は、まるで天使のようです。
そこには、「血の通った」温かさ、ぬくもりを感じます。
 
最初から最後まで、ぐいぐい引き込まれていく作品でした。

テーマは非常に重いものでしたが、4人の女優の演技も素晴らしく、
これは「傑作」だと思いました。
音楽も必要最小限に抑えてあります。
映画の冒頭部分は、時計の針の音、時刻を告げる音だけが流れます。
これもまた、どこか、寒々しくて印象的でした。
 
もっとベルイマン監督作品を見てみたくなりました。
BSでベルイマン特集をやっていたのを録画して見たのですが、
確か「秋のソナタ」も放映されたはずなのに、取り損なってます(><)
見たかったな~~~~
 
スポンサーサイト



最終更新日 : 2019-06-08

No title * by 瀧野川日録
二人の姉妹の夫たち、まったく「男ども」はだめですね〈笑)それにしても死者でありながら、生きている死体、鬼気迫りました。ファン登録させていただきます。これからもよろしく。

No title * by green
トリックスターさん、確かに夫たち、特に姉の夫は冷酷でしたね・・
あんな男と結婚したのが、そもそも不幸の始まりだったのかもしれません。。。それも、人生なのでしょうか。
こちらこそ宜しくお願いいたします!

Comment







管理者にだけ表示を許可

No title

二人の姉妹の夫たち、まったく「男ども」はだめですね〈笑)それにしても死者でありながら、生きている死体、鬼気迫りました。ファン登録させていただきます。これからもよろしく。
2010-06-10-07:15 * 瀧野川日録 [ 編集 ]

No title

トリックスターさん、確かに夫たち、特に姉の夫は冷酷でしたね・・
あんな男と結婚したのが、そもそも不幸の始まりだったのかもしれません。。。それも、人生なのでしょうか。
こちらこそ宜しくお願いいたします!
2010-06-10-21:19 * green [ 編集 ]