緑の光線

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2010-11-13 (Sat)  22:17

「処女の泉」

「処女の泉」    JUNGFRUKALLAN 1960年 スウェーデン
 監督 : イングマール・ベルイマン
 出演 : マックス・フォン・シドー、ビルギッタ・ヴァルベルイ、グンネル・リンド
 
非常に衝撃的な映画でした。
先日観た「悪人」を観た後の衝撃に近いものがあります。
 
複数の使用人を雇っているようなわりとお金持ちな、ある農家。
娘を愛する母親、そんな母親に「お前は娘に甘すぎる」と言いながらも、
自分だって娘にはやっぱり甘い父親、その父娘を見て、どこか嫉妬を覚える母親。
 
甘えん坊の娘。世間知らずの娘。男を知らない娘。

そんな「純」な娘カリンとは対照的な存在なのが、
使用人のインゲリ。
一家が敬虔なクリスチャンであるのに対し、
彼女はオーディン神を崇め、
そして、父親のわからない子供を身ごもっている。
カリンのさらっさら~な金髪とは違い、
インゲリの髪は黒くてぼさぼさ。
そんなインゲリはカリンに対し、憎しみに近い嫉妬を感じている。
そしてカリンはインゲリをどこか蔑んでいるようにも見える・・・
 
ある日、カリンは教会にろうそくを届けに行くんですね。下女のインゲリを連れて。
途中森の近くで、インゲリが急に怯えだすんです。森には行かないと・・・
なぜインゲリは森を恐れたのか・・・森に対し畏怖のようなものを感じたのか・・・
 
ひとりで教会へ行くことになったカリン。そこで、3人の男兄弟に出会います。
何せ、純なカリンですから、男に対し無防備です。
「一緒に食事しましょう」なんて、ピクニック気分で食事をしたりしている。
そして、3人兄弟のうち、上のふたりが彼女を強姦し、挙句の果てに殺してしまうのです。
このシーンは、かなり衝撃的でした。生々しいというか・・・思わず目を背けたくなるほど・・・
日本で公開されたとき、このシーンは税関でカットされたようです。
 
インゲリはカリンが襲われるところを見ているのですが、結局何もすることができません・・・
 
3兄弟は、その日の宿を探すのですが、なんとたどり着いたのは、カリンの家。
娘を殺したのが、この男たちだと知った父親は、復讐するのです。
復讐を実行する前に、父親は庭に出て木を倒し枝を切り、その枝で身を清めるのです。
(北欧では、サウナに入って枝で体をぱんぱん叩くでしょ)
そのなんとも落ち着いた行動が、私はとても印象的でした。
そして、肉切り刀を手に持ち、男達を殺すのです。
このシーンも非常に恐ろしかった・・・・憎しみと怒りによる殺人とはこういうものなのか!!
その憎悪の念のようなものがひしひしと伝わってくるようでした。
そして、何の罪もない3兄弟の末っ子まで殺してしまうのです。
 
娘の遺体を捜しに行く一家。
娘の亡骸にすがりつく母親。
そして父親は、天を仰いで叫びます。
「神よ、どうして黙っておられたのだ。娘が殺されるのも、私の復讐も全て見ておられたはずなのに・・」と。
そして、罪の償いの証として、この地に教会を建てる事を誓うのです。
そして、娘の亡骸を抱き上げると、なんとそこから泉が湧き出すのです・・・
この泉が意味するものは・・・
父親の罪は許されたのか・・・・
 
いろいろな問題を含んでいる映画でしょ。
確かに宗教的な観点から考えると、私達には「よくわからない」部分があります。
だけど、現代社会の問題にも充分通じる話。
娘の敵を討つためとはいえ、やはり人を殺してしまうことは罪です。
どんな大儀があろうと、やはり理性的な行為とは到底思えない。
実際、殺さなくてもよかった罪なき子供まで殺してしまっているし・・・
だけど、もし法が裁いてくれなかったら・・・
神が裁いてくれるのか・・・
 
今回もまたいろいろなことを考えさせられてしまいました。
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最終更新日 : 2019-06-08

No title * by あきりん
重い主題の映画ですよね。録画はしたのですが、もう一度観る気力が今はありません。いつの日か・・・。

No title * by green
あきりんさん、重かったですね・・
1960年の映画ですが、今の社会問題にも通じるところがありますよね。ベルイマンは人間の本質的な部分を見せつけられるので、見ていて非常に辛いのですが、やはり引き付けられます・・

No title * by 龍香
ミッション系の学校に通って10年。。結局、まったく宗教心はめばえませんでした、私。どんなに信仰心があっても起きる事は起きてしまうのが現実だもん。右のほほを打たれたら、左のほほもさしだせ。。ともいいますができません。どんな人間も強くない。間違ってしまう弱さを持っているって心に刻んでいたら人を許すことってできるかな。でも自分の大切な人が殺されたら理性を抑えることってかなり難しいんだろうな、とも思います。

No title * by green
ママさん、ミッション系の学校に通ってたんだね・・・
神を求めてしまうのも人間の弱さであり、神を信じることで人が強くなれることもあるよね・・・
罪と許し・・・難しい問題だよね。

No title * by なっちゃん
記事を読んで思ったけど、邦画の「さまよう刃」と問題視される点が似てるかも。。
私も「さまよう刃」を観てから随分経つけど、
未だに残酷なシーンとか、娘を殺された父親の気持ち、復讐する父親の事を思うと、
考えさせられる事が沢山残ってます・・・。
(因みに「さまよう刃」は、犯人が未成年故に、
殺人を犯しても軽罪になる法律に疑問点を突いた映画です)

No title * by green
なっちゃん、これもまた人間が抱え続ける問題だよね。
罪、償い、許し、これは現在法律によって定められているわけだけど、法律だけではくくることのできない問題もあるもんね。
最近裁判員制度のことがよく新聞に載ってるよね。
人の罪をどう裁くのか、ほんとうに難しい問題・・・・

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No title

重い主題の映画ですよね。録画はしたのですが、もう一度観る気力が今はありません。いつの日か・・・。
2010-11-14-00:06 * あきりん [ 編集 ]

No title

あきりんさん、重かったですね・・
1960年の映画ですが、今の社会問題にも通じるところがありますよね。ベルイマンは人間の本質的な部分を見せつけられるので、見ていて非常に辛いのですが、やはり引き付けられます・・
2010-11-14-09:38 * green [ 編集 ]

No title

ミッション系の学校に通って10年。。結局、まったく宗教心はめばえませんでした、私。どんなに信仰心があっても起きる事は起きてしまうのが現実だもん。右のほほを打たれたら、左のほほもさしだせ。。ともいいますができません。どんな人間も強くない。間違ってしまう弱さを持っているって心に刻んでいたら人を許すことってできるかな。でも自分の大切な人が殺されたら理性を抑えることってかなり難しいんだろうな、とも思います。
2010-11-16-15:30 * 龍香 [ 編集 ]

No title

ママさん、ミッション系の学校に通ってたんだね・・・
神を求めてしまうのも人間の弱さであり、神を信じることで人が強くなれることもあるよね・・・
罪と許し・・・難しい問題だよね。
2010-11-16-21:28 * green [ 編集 ]

No title

記事を読んで思ったけど、邦画の「さまよう刃」と問題視される点が似てるかも。。
私も「さまよう刃」を観てから随分経つけど、
未だに残酷なシーンとか、娘を殺された父親の気持ち、復讐する父親の事を思うと、
考えさせられる事が沢山残ってます・・・。
(因みに「さまよう刃」は、犯人が未成年故に、
殺人を犯しても軽罪になる法律に疑問点を突いた映画です)
2010-11-21-09:22 * なっちゃん [ 編集 ]

No title

なっちゃん、これもまた人間が抱え続ける問題だよね。
罪、償い、許し、これは現在法律によって定められているわけだけど、法律だけではくくることのできない問題もあるもんね。
最近裁判員制度のことがよく新聞に載ってるよね。
人の罪をどう裁くのか、ほんとうに難しい問題・・・・
2010-11-21-09:39 * green [ 編集 ]