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2011-05-27 (Fri)  12:11

「天上の青」 曽野綾子著


「天上の青」  曽野綾子 著
 
以前にもちらっと書きましたが、
あるブロガーさんがこの本のことを紹介していて、
とても興味を持ち、読み始めた小説です。
 
 
 
ある連続殺人犯と、その男性に関わった一人の女性の話なんですけど・・・・
 

前半、殺人犯、宇野富士男の犯行の過程が、淡々と綴られているんです。
はっきり言って、このあたりは、読んでいて腹が立ってきます。不快感を感じるほどです。
ものすごく単純な理由で人を殺しているから。会ったばかりの人を自分の怒りのままに
簡単に手をかけてしまう。世の中にこういう人がいるのかと思うと恐ろしくてたまりません。
さらに、殺されてしまう方の人の態度にも・・・・・犯人の怒りをかうような態度をとるんです。
犯人にも人間として見事に欠落している部分がありますが、殺された人たちにも(全てではないですが)
なにか、人間として足りないというか、寂しさというか、冷たさを感じ、それもまた腹立たしく、
悲しい気持ちになります。
だいたい、なんで、そう見知らぬ男の車にほいほい乗っちゃうかな~~~~
 
だけど、宇野富士男の犯行理由とか、罪の重さとか、そういうことよりも、
この小説のメインテーマは、やっぱり波多雪子さんの生き方だと思います。
 
はっきり言って、波多雪子さん、好きです。
私のお姉さんになってもらいたいと思ったほどです。
すべてをありのままに受け入れる、そういう姿勢にとても惹かれました。
この小説の根底にはキリスト教がありますが、波多雪子さんは、牧師さんみたいな人ですね。
その人の喜びも、悲しみも、罪も、ただただ黙って聞いてあげる。
 
宇野富士男が捕まって、波多雪子さんのもとに、週刊誌の取材者が訪ねてくるのですが、
雪子さんは、家にあげてあげます。そして、雨で濡れてしまった靴下をささっと洗濯して
あげるんですね。で、その取材者が、「なぜ宇野富士男はあなたに手をかけなかったのかな?
靴下まで乾かしてくれるような優しいひとだからかな?」と聞くんです。
すると雪子さんは、「私は誰だから、何かをする、ということはないんです。どなたでも、
濡れていたら、乾かすようにして差し上げるだけですから
」と言うんです。
このセリフ、雪子さんの人柄を表していると思います。
 
雪子さんには、あの人だからこうしようとか、この人だからこうしておいた方が得だとか、
そういう考えがないんですね。小細工がないんです。
そうすべきだと思ったら、ただそうするだけなんです。
 
確かに、どこか冷たさみたいなものを感じないわけではありません。
とても割り切ったというか、ちょっと突き放したように感じられるところもあります。
だけど、自分の人生をどう生きるのかって、結局自分でしか決められないんですよね。
雪子さんは、宇野富士男に対し、「改悛してくださいとは言いません」と言っています。
ただ、心の中では宇野富士男が少しでも人間らしい心を取り戻して欲しいと静かに祈り続けていた
と思います。
 
宇野富士男が雪子さん宛ての手紙に、「あんたを抱きたかった」と書いていました。
この言葉には、人間らしい感情が含まれていたのではないかと思います。
雪子さんとの出会いで、ほんの少しでも、人間らしい感覚を取り戻せたのではないかと・・・・
 
どうして宇野富士男のような人間が作られてしまうのか、親の教育のせい、社会のせい、
いろいろと要因はあるかもしれないし、もしかしたら、生まれつきそういう人間なのかも
しれない。それは多分わかることはないと思います。
雪子さんは、宇野富士男のことを、どんな悲しみも怖さもほんとうにしみ通らない人、だと
言っています。
 
罪を犯した人は裁かれるべきなのでしょうけど、
人が人を裁くことってできるのかな~~って思ったりもします。
私は、別に、信仰心があるわけじゃないのですが、「神様はいつも見ている」という気持ちが
常にあります。
もし、私に何かひどい仕打ちをしてきた人がいたとしても、だからといって、仕返ししたりとか
そういう気持ちにはなれなくて、「神様が裁いてくださる」ってどこかで踏ん切りをつけるというか、
線を引くというか・・・つまり関わりたくないのです。これって、ちょっとずるいのかなって
思ったりもするけど。
 
この小説、過去に何度かドラマ化されているようです。
NHKのドラマでは、宇野富士男役を、佐藤浩市さん、波多雪子役を、桃井かおりさんが演じてるようですね。
佐藤浩市さんの演技観たかったな~~~~
宇野富士男って、語尾に「よ」をつけるんです。
「この俺よ」 とか 「~~するのよ」 とか・・・・
宇野富士男のセリフ部分や手紙部分を読んでるときは、佐藤浩市さんの口ぶりを想像しながら
読んでいました(笑)
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最終更新日 : 2019-06-08

No title * by sar*n_h*y*40
興味ある内容です。
曽野さんは敬虔なクリスチャンですね。
心の根底に信じるものがあるとないとでは人生は自ずと変わってくると思います。
人生半分過ぎたようないい年をしても懲りずに何度も犯罪犯す人ってどんな過去があるにせよ心のより所が無い人だと思う反面、学習能力のない寂しい人生だと思います。

我が家は仏教徒ですが妄信的なものではなく先祖代々のものです。
仏さまに手を合わせ日々を感謝すると言うありふれた門徒ですが・・・

素敵な本の紹介ありがとうございます。

No title * by kinaco
かなり昔? ドラマでやっていたな・・という記憶があります。母が見ていたのかな?題名を覚えています。題名が子供心に斬新なイメージ?としてとらえていたような。。。

No title * by green
ふくはなさん、最初、犯行内容が淡々と書かれてあるので、ちょっと辛いのですが、だんだん引き込まれていきました。
心のよりどころがない人、そういう人が犯罪に走ってしまうんでしょうね。でもその有る無しって、とっても微妙ですよね・・・
人間って、とても弱いですから。

私もよく祈ります。
夜おふとんに入ってから祈ることが多いかな・・・・
「神様は見ている」と思うと、「まっすぐ生きなきゃ」って思えるような気がします。

No title * by green
kinacoさん、お母様が見られていたドラマ、どういう配役だったんでしょうね^^
天上の青って、朝顔の種類なんですって。

No title * by kinaco
そうなんですか! 母に教えます^^

No title * by green
kinacoさん、英語で言うと ヘヴンリー・ブルー ですって^^

No title * by 龍香
本当にね、人を殺す人間には同情の余地が無い場合が多いですね。(すべてとは思いませんが・・)でも、この作品を読んでいて、殺された人間の態度にも確かに怒りを覚えました。どうしてこんなに自分を隠さずになまなましいんだろうって。

そして宇野には理性というものがないですね。あくまで本能的。でも宇野が被害者に対してもつイライラする、むかむかする気持ちっていうものには読んでいて同調するものがあったんです。でも、人間って少なからずみんな何がしら足りないものをもってるでしょうね。だからお互いに認め合うってことも大切ですよね。宇野はそれが出来ない人なんだけど。。

でも雪子さんはどんな人も分け隔てなく受け入れる、よいところも悪いところも。対極にありながらも、関わり続ける二人の様子が読んでいてとても不思議な感じがしました。

でも、どうしたら雪子さんのような考え方ができるんだろう・・と思いましたよ。

うんうん、佐藤浩一さん、ぴったり!あの投げやりな、そして女性に対して貪欲な感じ。。雪子さんは桃井かおりさんかぁ。。もう少し清純な(失礼・・^^;)イメージがあるかも。今なら、蒼井優ちゃんなん

No title * by green
ママさんの言うとおり。今、うんうんとうなずきながら読みました。
みんながみんな、雪子さんみたいになれれば、それが一番なんだろうけど、人間そうはなれないもんね。
自分のことで精一杯だったり、相手に対する配慮を欠いたり、そういう人もいる。だけど、それを理解してあげる人がいなかったら、
ほんとうに恐ろしい世の中になってしまうよね・・・
宇野のような人が存在してしまうのは、どうしてなんだろう・・・・

私も桃井かおりさんは??だったの~~~
蒼井優ちゃんか~~~確かに清純だよね。
私はね、最初樋口可南子さんが浮かんだの。
あとはね、原田美枝子さんとか・・・

No title * by mog*yjp
こんにちは 私は何年も前にNHK の天井の青を見ました。 とても 忘れられない ドラマで 佐藤浩一さんも良かったし女優さん(誰だったか忘れ 樋口可南子さんだったかなと思ってたのですが」桃井かおりさんでした) 最近図書館でNOreasonn for murder}を見つけ借りてきて読んでいます。 英語版ですね。

No title * by green
mog*yipさん、コメントありがとうございます。
ドラマ、ご覧になったのですね・・・
かなり前のどらまですよね。こういうドラマ、再放送はむりですよね^^

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No title

興味ある内容です。
曽野さんは敬虔なクリスチャンですね。
心の根底に信じるものがあるとないとでは人生は自ずと変わってくると思います。
人生半分過ぎたようないい年をしても懲りずに何度も犯罪犯す人ってどんな過去があるにせよ心のより所が無い人だと思う反面、学習能力のない寂しい人生だと思います。

我が家は仏教徒ですが妄信的なものではなく先祖代々のものです。
仏さまに手を合わせ日々を感謝すると言うありふれた門徒ですが・・・

素敵な本の紹介ありがとうございます。
2011-05-27-16:31 * sar*n_h*y*40 [ 編集 ]

No title

かなり昔? ドラマでやっていたな・・という記憶があります。母が見ていたのかな?題名を覚えています。題名が子供心に斬新なイメージ?としてとらえていたような。。。
2011-05-28-09:37 * kinaco [ 編集 ]

No title

ふくはなさん、最初、犯行内容が淡々と書かれてあるので、ちょっと辛いのですが、だんだん引き込まれていきました。
心のよりどころがない人、そういう人が犯罪に走ってしまうんでしょうね。でもその有る無しって、とっても微妙ですよね・・・
人間って、とても弱いですから。

私もよく祈ります。
夜おふとんに入ってから祈ることが多いかな・・・・
「神様は見ている」と思うと、「まっすぐ生きなきゃ」って思えるような気がします。
2011-05-28-21:52 * green [ 編集 ]

No title

kinacoさん、お母様が見られていたドラマ、どういう配役だったんでしょうね^^
天上の青って、朝顔の種類なんですって。
2011-05-28-21:53 * green [ 編集 ]

No title

そうなんですか! 母に教えます^^
2011-05-29-14:08 * kinaco [ 編集 ]

No title

kinacoさん、英語で言うと ヘヴンリー・ブルー ですって^^
2011-05-30-09:42 * green [ 編集 ]

No title

本当にね、人を殺す人間には同情の余地が無い場合が多いですね。(すべてとは思いませんが・・)でも、この作品を読んでいて、殺された人間の態度にも確かに怒りを覚えました。どうしてこんなに自分を隠さずになまなましいんだろうって。

そして宇野には理性というものがないですね。あくまで本能的。でも宇野が被害者に対してもつイライラする、むかむかする気持ちっていうものには読んでいて同調するものがあったんです。でも、人間って少なからずみんな何がしら足りないものをもってるでしょうね。だからお互いに認め合うってことも大切ですよね。宇野はそれが出来ない人なんだけど。。

でも雪子さんはどんな人も分け隔てなく受け入れる、よいところも悪いところも。対極にありながらも、関わり続ける二人の様子が読んでいてとても不思議な感じがしました。

でも、どうしたら雪子さんのような考え方ができるんだろう・・と思いましたよ。

うんうん、佐藤浩一さん、ぴったり!あの投げやりな、そして女性に対して貪欲な感じ。。雪子さんは桃井かおりさんかぁ。。もう少し清純な(失礼・・^^;)イメージがあるかも。今なら、蒼井優ちゃんなん
2011-06-06-16:06 * 龍香 [ 編集 ]

No title

ママさんの言うとおり。今、うんうんとうなずきながら読みました。
みんながみんな、雪子さんみたいになれれば、それが一番なんだろうけど、人間そうはなれないもんね。
自分のことで精一杯だったり、相手に対する配慮を欠いたり、そういう人もいる。だけど、それを理解してあげる人がいなかったら、
ほんとうに恐ろしい世の中になってしまうよね・・・
宇野のような人が存在してしまうのは、どうしてなんだろう・・・・

私も桃井かおりさんは??だったの~~~
蒼井優ちゃんか~~~確かに清純だよね。
私はね、最初樋口可南子さんが浮かんだの。
あとはね、原田美枝子さんとか・・・
2011-06-06-21:36 * green [ 編集 ]

No title

こんにちは 私は何年も前にNHK の天井の青を見ました。 とても 忘れられない ドラマで 佐藤浩一さんも良かったし女優さん(誰だったか忘れ 樋口可南子さんだったかなと思ってたのですが」桃井かおりさんでした) 最近図書館でNOreasonn for murder}を見つけ借りてきて読んでいます。 英語版ですね。
2016-05-08-11:15 * mog*yjp [ 編集 ]

No title

mog*yipさん、コメントありがとうございます。
ドラマ、ご覧になったのですね・・・
かなり前のどらまですよね。こういうドラマ、再放送はむりですよね^^
2016-05-16-09:58 * green [ 編集 ]