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2011-12-21 (Wed)  13:42

福永武彦 短編集

最近、あまり新しく本を買ってなくて・・・
家にある昔買った本を読み返すことが多くなりました。
 
なかでも福永武彦氏の小説は、一度読み出すと、どんどんはまっていってしまいます

 
これは、ちくま日本文学全集50巻のなかのひとつです。
 
収められているのは
 
心の中を流れる河
幼年
遠方のパトス
深淵
完全犯罪
岡鹿之助の詩的世界
ゴッホとゴーギャン、内面への道
 
詩 夜及びその他のソネット
詩 死と転生 及びその他の詩
 
 
愛 や 孤独 そして、死がテーマになっています。
そして、その死は、やはり戦争体験によるものが大きくて、
戦争を体験していない私にとっては、「何をもってしても抗うことできない死」のようなものを
が~~んと突きつけられるような気持ちにさせられます。
 
『遠方のパトス』 より・・・・・
僕たちにはもう愛することなんか出来ないだろう、と彼は思った。 僕たちはみんななくしてしまった。
死んで行く戦友たちをどんなにか愛していた。 しかしどんなに愛していたところで、僕たちは
何も出来なかった。 確かなことは何もない。 戦場で覚えたのは憎しみだけだ。 乾からびた
唇、痩せ細った腕、蛆の湧いている傷口。 もし愛していることでせめて一杯の水でも
あの時手にはいったのなら。 それならば愛しもしよう。 愛からは一杯の水も生まれて来ない。
愛することは浪費だ。 自分のものを与えることだ。 僕たちにはもう与えるものなんかありはしない。
 
「愛する」ことが無力であることをつきつけられる・・・・
そんな世界、想像したくありません。
戦争と、今回の大震災を同じように考えるのは、間違っているのかもしれませんが、
自然の猛威の前でも、愛は無力になってしまうのか・・・ふとそんなことを考えたりもしました。
 
 
『深淵』は、敬虔なカトリック教徒の女性が、キリストの教え第六誡(姦淫)を犯した罪を嘆き、
それでも、自分を深淵に陥れた男と一緒に生きて行こうとするお話。
彼の元に行き、彼と一緒に行き、彼に、人には魂があること、神に祈ることで救われることを教えることが、
自分の生きる道であると考えるのです。
これも「愛」なんだな・・・て思わされる作品。
周りからなんと言われようと、他人が理解してくれなくても、これが私の生きる道なんだと
自分の力で決め進んでいく。 結末は悲劇であっても、やっぱりそうせざるを得ない。
それが人間なんだろうな・・・・
これは、女性からの告白と、男性からの告白とが交互に構成されています。
この作品は、あまりにも深すぎて、重すぎて、私がああだこうだ書いちゃうと、その重みが軽くなって
しまいそうな気がするのでこれ以上書けません・・・・
 
 
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最終更新日 : 2019-06-08

No title * by はなまめ
読み応えのある本なのですね・・・
引用なさっている愛についての文章、考えさせられました。
どんなに大変で、あげられるものが何もないときでも、そっと手を添えて「何も出来ないけど、側にいるよ」って伝えられたら、まだ愛する意味が残っている・・・と思いたいです。

No title * by green
はなまめさん、私ははなまめさんの言葉に考えさせられました。
ほんと、そうですね。
愛が与えるものならば、一杯の水は与えられなくても、目に見えない何かを伝えられるかもしれないし、それがその人にとってかけがえのないものになる場合もありますよね。

No title * by -
私も最近、本を読んでいないですね。
せっかくのお休み、私も何か1冊は読みたいですね。

greenさんは、映画や、ドラマや本などで、常に何かを吸収している感じがします。

「愛」とは、目に見えないものなんですね・・・。

No title * by green
ひまわりさん、私もゆっくり本を読む時間がないんですよ~~
週に一度出勤しているので、その行き帰りが読書タイムです。

映画にドラマ、本、どれも好きですね~~~
「言葉」に触れることが好きなのかもしれません。
(↑ちょっとかっこよすぎ??^^;)

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No title

読み応えのある本なのですね・・・
引用なさっている愛についての文章、考えさせられました。
どんなに大変で、あげられるものが何もないときでも、そっと手を添えて「何も出来ないけど、側にいるよ」って伝えられたら、まだ愛する意味が残っている・・・と思いたいです。
2011-12-21-16:12 * はなまめ [ 編集 ]

No title

はなまめさん、私ははなまめさんの言葉に考えさせられました。
ほんと、そうですね。
愛が与えるものならば、一杯の水は与えられなくても、目に見えない何かを伝えられるかもしれないし、それがその人にとってかけがえのないものになる場合もありますよね。
2011-12-21-21:57 * green [ 編集 ]

No title

私も最近、本を読んでいないですね。
せっかくのお休み、私も何か1冊は読みたいですね。

greenさんは、映画や、ドラマや本などで、常に何かを吸収している感じがします。

「愛」とは、目に見えないものなんですね・・・。
2011-12-23-13:59 * - [ 編集 ]

No title

ひまわりさん、私もゆっくり本を読む時間がないんですよ~~
週に一度出勤しているので、その行き帰りが読書タイムです。

映画にドラマ、本、どれも好きですね~~~
「言葉」に触れることが好きなのかもしれません。
(↑ちょっとかっこよすぎ??^^;)
2011-12-24-22:12 * green [ 編集 ]