「生きる」 1952年 日本映画
監督 : 黒澤明
出演 : 志村喬、 小田切みき、 金子信雄
NHKBSで放送された、「山田洋次監督が選んだ日本の名作」の中の1本です。
はるか昔(笑)、まだ実家にいるとき、一度母と一緒に見た記憶があります。
まず、いきなり胃のレントゲン写真が写しだされます。
ナレーションで「これは、この映画の主人公の胃の写真である。・・・・・・
彼は、これまで「死んだように」生きてきた・・・・」と、主人公がどんな人間であったのかが明らかになります。
自分の命の期限を知ってしまったとき、初めて「生きる」ことの意味を考え、悩み、苦しみ、
そして、初めて「生きる」ことに目覚めた、そんな人の話です。
まず、1952年、昭和27年という時代です。
私、「あ~~サザエさんの漫画みたいだ」って思っちゃいました。
サザエさんの漫画に出てくる、家の中の風景、街の風景、女性の服装が、そのまま出てくる感じです。
家の照明器具をつけるとき、「電気をつける」って言うでしょ?
この表現、おかしいな~~ってずっと思ってたんですけど、
以前新聞で、サザエさんの漫画を題材に、なぜ「電気をつける」という表現が使われたのかを
説明していました。
昔、電気が普及して間もない頃、部屋の照明(たいてい裸電球)が、同時にコンセントの役割を果たしていた
そうなんです。
サザエさんの漫画では、アイロンのコンセントが、天上の照明器具につながっていました。
昔は、照明とコンセントがひとつになってたんですね~~~
話がそれましたが、
この映画の中の照明器具も、もちろん裸電球です。
自分が胃がんに冒されてることを知った主人公は、今までの私の人生は何だったんだろうという
虚しさに、打ちひしがれてしまいます。
飲み屋で知り合った男に、「とことん遊びましょう!!」と誘われ、
夜の街に繰り出します。
これまた貴重なシーンがたくさん!!
まずパチンコです。 もちろん、指でひと玉ずつはじくパチンコです。
ビヤホールにキャバレー、ダンスホールもでてきます。
ダンスホールで踊る踊り子の踊りも、なかなか見応えがあります。
あと、ストリップショーも出てきます。(これがすっごく綺麗だった)
戦後間もない日本、アメリカ文化が一気に押し寄せた時代であったことが、とてもよくわかります。
この映画では、日本人の悪いところを、いやと言うほど見せ付けられます。
「お役所仕事」という言葉がありますが、なぜ、こんな言葉ができてしまったのかが、
この映画を見ると、よ~~~~くわかります。
だって、「何もしないのが一番いい」んですよ。
「縄張りがある、その縄張りをおかしちゃいけない」
「めんどうは起こさない」
そんな考えで「仕事をしない」ことを仕事にしているんです。
自分の人生、虚しかったな~~~そんな気持ちでは死にたくないですよね。
「生きた」という実感を、きちんと味わって、一生を終えたいですよね。
うん、よい映画です。
さすが黒澤映画、見応え十分です。
お薦めします!!
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最終更新日 : 2019-06-08
No title * by 龍香
気になりつつ観ていない映画の一つですね。ブランコにまつわるお話だったかな?
ゆっくり映画館で映画を観たいなぁ。。だとソファーにゴロリで睡魔に負けそう。。
ゆっくり映画館で映画を観たいなぁ。。だとソファーにゴロリで睡魔に負けそう。。
No title * by -
黒澤映画、じっくり観たことがありません。
やっぱり、違うんですね・・。
私の両親が、中学生位の頃の話ですね。
観てみたいな~と思います。
「お役所仕事」の意味がどうしてできたのか、この映画を観るとよくわかるのですね!
深く考えさせられる映画ですね。
今の時代に、観ておきたい映画ですね!
やっぱり、違うんですね・・。
私の両親が、中学生位の頃の話ですね。
観てみたいな~と思います。
「お役所仕事」の意味がどうしてできたのか、この映画を観るとよくわかるのですね!
深く考えさせられる映画ですね。
今の時代に、観ておきたい映画ですね!
No title * by green
はなまめさん、「生きている」実感なんて、普段あまり考えないですもんね・・・・
この映画の主人公みたいに、差し迫らないと、改めて「生きる」意味なんて、考えないのかもしれません。
そういう意味でも、この映画は「生きる」ことを考えさせられます。
この映画の主人公みたいに、差し迫らないと、改めて「生きる」意味なんて、考えないのかもしれません。
そういう意味でも、この映画は「生きる」ことを考えさせられます。
No title * by green
ママさん、そうなの。
主人公が、最後の自分の仕事として、公園づくりに尽力するの。
そして、出来上がった公園のブランコに座って
「いのち短し、恋せよ乙女~~~」って歌うの。
私も、最近全然映画館に行けてませ~~~ん。
主人公が、最後の自分の仕事として、公園づくりに尽力するの。
そして、出来上がった公園のブランコに座って
「いのち短し、恋せよ乙女~~~」って歌うの。
私も、最近全然映画館に行けてませ~~~ん。
No title * by green
ひまわりさん、私も黒澤映画をちゃんと見るようになったのは、
ここ数年です。
やっぱりいいですよ。
その時代の風景がよくわかるので、ある意味、貴重な歴史資料の
ような意味を持つ映画だと思います。
是非観てみてください!
ここ数年です。
やっぱりいいですよ。
その時代の風景がよくわかるので、ある意味、貴重な歴史資料の
ような意味を持つ映画だと思います。
是非観てみてください!
No title * by green_green
こんばんは。おひさしぶりです。
学生時代に黒沢監督の作品を続けてみていた頃に
この作品に接しました。
greenさんの解説を読んでいくうちに映画の場面が
記憶に蘇ってきました。
机の上に積み上がっていた書類が、残された半年間のうちに
きれいに処理されていったのが印象に残っています。
学生時代に黒沢監督の作品を続けてみていた頃に
この作品に接しました。
greenさんの解説を読んでいくうちに映画の場面が
記憶に蘇ってきました。
机の上に積み上がっていた書類が、残された半年間のうちに
きれいに処理されていったのが印象に残っています。
No title * by うーこ
黒沢映画って、一回だけ無料チケットをいただいて、観に行ったことがあるんですが、その映画はいまいちやって(私には)…
さすが黒沢映画っていうのを、観てみたい気がします!
いまいちやと思ったの、なんて言う映画やったかなぁ…
さすが黒沢映画っていうのを、観てみたい気がします!
いまいちやと思ったの、なんて言う映画やったかなぁ…
No title * by うーこ
気になって調べてみたら、『夢』っていう映画やったわ~。
評価は知らないけど、若かった私には、ピンとこない映画でした。今観たら違うんかな?
評価は知らないけど、若かった私には、ピンとこない映画でした。今観たら違うんかな?
No title * by green
Greenさん、おひさしぶりです・・・
あの市役所の書類の山はすごかったですね。
机の上もそうでしたし、壁一面書類で埋め尽くされてましたよね。
あれも、演出のうちなのかな~~と思いました。
実際どうだったんでしょうね。
あの市役所の書類の山はすごかったですね。
机の上もそうでしたし、壁一面書類で埋め尽くされてましたよね。
あれも、演出のうちなのかな~~と思いました。
実際どうだったんでしょうね。
No title * by green
うーこさん、「夢」という映画、私観たことないです・・・
今調べてみたら、1990年ということで、わりと最近の映画なんだね~~
確かに若い頃と、今とでは、見方や感じ方が変わるかもしれないね。
私も黒澤映画は、ほんの少ししか知らないんだけど、
この映画は、映像としてもおもしろいし、映画の構成も変わってて、
うん、見応えがあると思う・・・
今調べてみたら、1990年ということで、わりと最近の映画なんだね~~
確かに若い頃と、今とでは、見方や感じ方が変わるかもしれないね。
私も黒澤映画は、ほんの少ししか知らないんだけど、
この映画は、映像としてもおもしろいし、映画の構成も変わってて、
うん、見応えがあると思う・・・
改めて考えてると、「生きている」実感、あまりないかも・・・(^^;