『変身』 カフカ 山下肇 訳
JIMMYさん(44 MAGNUM)がブログで紹介してくれたおかげ(?)で、
すっかりカフカにはまっております。
で、今回は『変身』です。
切ない、というか、身につまされるというか・・・・
ある朝目覚めると、自分の体が虫になっている。
節のあるお腹がせりあがっていて、何本もの短い脚がわさわさ動いてる・・
でも、自分は一家を支える身、一介のサラリーマン、
働かなくてはならない・・・
出張に行かなくちゃ、なんとか体を動かして、汽車に乗らなくては・・・
といった場面から、このお話が始まります。
でも、主人公グレゴール・ザムザは、自分が虫に変身してしまったために、
仕事もできなくなり、人とのコミュニケーションも取れなくなり、
ただひたすら部屋に閉じこもる日々を送ることになるのです。
つまり孤独です。
そして、周りの家族も変化していきます。
おとなしかった妹(多分以前はおとなしい控えめな女性だったのではと想像する)が、
活動的になり、なんというか、お兄ちゃんが虫になり社会性を失ったことで、かえって妹が
生き生きしてきた、そんな印象を受けました。
今までは、部屋でこっそり弾いていたバイオリンを、客の前で堂々と弾いて見せたりとか・・・
おそらく隠居していたであろうお父さんも、仕事に出るようになり、
仕事着を着ているときは、一家の主らしくふるまったりもします。
こういう家族の変化を、ひとり部屋のドアの隙間から見つめるグレゴールの心境を考えると、
う~~~~ん、切ない!!
たとえば、仕事人間の会社員が、大量の仕事を抱えてて、自分がいなきゃ、この会社は回らない、
休めない、休むわけにはいかない!と、本人は思いこんでいても、
いざ、病気や怪我で、会社を休まなくてはならなくなったとき、
布団の中で、今頃会社はたいへんだろうな~~~僕がいなくちゃ回らないんだろうな~~なんて心配しても、
実は案外、自分がいなくても、誰かがちゃんと仕事をしてくれて、なんとかなったりして、
あ~~自分の存在価値ってそんなものだったんだ・・・・と、がっかりしてしまうような・・そんな感じ?
自分自身は変わっていないのに、ただ体が虫になっただけなのに、
自分の価値を誰も認めてくれない・・・・
あ~~~哀しすぎる・・・・
またしばらくすると、読み返したくなるかもしれません・・・
そのときは、別の訳者の『変身』を読んでみようかな・・・
そして、次は長編『城』を読んでみたいです。
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最終更新日 : 2019-06-08