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2020-01-09 (Thu)  13:12

『82年生まれ、キム・ジヨン』チョ・ナムジュ

『82年生まれ、キム・ジヨン』チョ・ナムジュ
(82년생 김지영  조남주)

ここ最近韓国の小説の日本語翻訳版がかなり出版されるようになりましたね。その代表作がこの『82年生まれ、キム・ジヨン』ではないでしょうか。
日本でもこの小説に共感する女性が多いとかで、メディアでもよく取り上げられていました。
P1013179.jpg
この本は、韓国語教室の先生からお借りしたもので、今回は韓国版原書で読みました。
この本、小説、となってますが、小説というよりは、ドキュメンタリーを読んでいるようで、そのせいか、文学的な複雑な表現が少なく、韓国語学習者にもわりと読みやすい本でした。

さてさて感想ですが・・・確かに共感できる部分もあるけど、すべてに共感できる、とは言えないかな・・
以前韓国語教室に一時臨時で教えに来ていた先生がこの本の話をしていたのですが、(この先生は女性でおそらく30代でキム・ジヨンと同年代、日本人男性と結婚していて、子ども無し)この本にはあまり共感できないと言っていました。主人公のキム・ジヨンが感じた「差別」をそんなに感じたことがないからだそうです。その先生のご両親が男女で差別をするような両親ではなかったらしく、先生と、先生の弟を差別することなく、金銭的にも教育の面でも、弟と同等だったそうです。ただ、親戚の集まりなんかがあるとき、男性陣は食べたり飲んだり騒いでいる一方で、女性陣ばかりが料理作ったり皿洗いをしたりして、いとこのお兄ちゃんたちは男性陣と一緒になって食べているのに、女の子だけが手伝いをさせられるのは、納得がいかなかったそうです(笑)

まず、日本と韓国では社会背景に違いがありますよね。
キム・ジヨンは、上から2番目の子どもで、上に姉がいます。つまりお母さんは女の子をふたり続けて産んだわけです。そして、3番目の子どもを妊娠し、女の子だとわかった時点でお母さんは中絶の手術を決めます。1980年代、女の子だからという理由での中絶手術が公然と行われていたそうで、その当時、3番目の子どもの男女比率は、男子が女子の2倍だったとか・・・・

そういう社会背景の中で、キム・ジヨンは「女性」であることの生きづらさを、様々な場面で感じることになります。子どもの時だけでなく、結婚して子どもができて育児をするようになってもです。

ただ、私個人は、幸いにも(といっていいのかわかりませんが)女性であることで特別差別を受けた、という意識があまりないんですね。(鈍感なのかしら)

キム・ジヨンは結婚しても仕事を続け、そして妊娠します。子どもができたことを素直に喜びたくても、それ以上の不安がジヨンを襲います。子どもを産んだ後も仕事を続けられるのかどうか・・
夫が言います「俺が手伝うから、おむつも替えるし、ミルクもあげるし、洗濯もするからさ」
「失うものばかり考えるんじゃなくて得るものを考えようよ。親になるってとても意味のあることだし。もし子どもを預けるところがなくて、君が仕事をやめるようなことになっても、俺が責任とるから。君に働けなんて言わないよ」
ジヨンが言います。「じゃあ、あなたが失うものは何なの」「私は今の若さや健康、仕事、同僚、友達といった社会的ネットワークも計画も未来もすべて失うかもしれないのに」

確かに子どもを産むことで多くのことが失われますよね。でも、それってある程度は仕方のないことではないかと・・・ただ、男性は失うものがなくて、女性ばかりが失う、ってのはやっぱり問題ですけど・・・ その失うものの差が、今後縮まっていくようにするためには、やっぱり人々の意識や社会のシステムを変えていく必要があるのでしょう。

男性が育児を「手伝う」のはおかしい!育児は親として当然するべきことなのに、「手伝う」ってどういうこと!って怒っている人がいました。確かにそうですけど、私としては、「手伝うよ」って言ってくれるだけでもありがたいです(笑)(←こういう私の意識も問題なのかも)

私を含め、私の周りの女性は、妊娠出産で仕事を一時辞め、慣れない育児にあたふたして、それでもママ友と情報交換しながらなんとか育児を頑張り、子どもがある程度大きくなったら、パートやアルバイトで働いて・・・そういう人が多いです。あ、もちろん妊娠出産しても、育樹休業を取得してその後仕事に復帰してフルで働いている女性もいます。かなり大変だと思います。相当の覚悟とそれないの環境が必要になると思います。私にはその覚悟がなく仕事を辞めました。でも、別に後悔はしてないですよ。

どんな生き方であっても、その人がいいと思える生き方ができる社会になることが一番ですけどね。

最後に・・・確かに女性であることの生きづらさ、あるかもしれませんが、それは男性にも言えることですよね。「男なんだから」「男はこうでなくっちゃ」みたいな意識、まだ根強く残っていると思うんです。男性にも生きづらさ、ありますよね。
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最終更新日 : 2020-01-09

書店で * by おんだなみ
書店でもよく見掛けます、アマゾンの評価も高いし。

性差による生き辛さは、状況は変われど、世界中にあるでしょう、
日本や韓国に比べ、酷い性差がある国も多いのではないでしょうか。
だから、我慢しなさいと言う訳ではないですが、

ただ、この主人公ジヨンの「じゃあ、あなたが失うものは何なの」や
他の発言に、自分だけが「割を食ってる感」が強すぎて、
何だかなぁ~と思いました。

自分が子供の頃、家に帰ると母が居る事が、ホッと出来たのですが
今の時代は、難しいのでしょうね。

Re: 書店で * by green
おんだなみさん、そうなんですよ~~~
言いたいことはわかるんだけど「なんだかな~~」というもやもや感は拭えないんですよね。
確かにそういう生きづらさはあるかもしれないけど、生きて行かなきゃならないんだし、
嘆いてばかりでは・・・という気持ちになってしまうのです。

No Subject * by greengreen
話題になっている本ですね。私も気になっていました。原書で読める語学力があるなんてすごい!韓国語の勉強をずっと続けておられるのですね。

20代の頃、韓国人の友人が多くいたのですが、当時の感覚では韓国の男女観って日本より一世代古い感じがしていました。日本より更に更にコンサバな感じです。日本社会と同じく今は随分変わったと思いますが、80年代に生まれた著者であっても男尊女卑社会に閉塞感を感じている?人がいるのですね。記事の中の夫の言葉を読んで、結婚しても男性に女性があわせることを前提にした価値観、人生観が男性たちの間では依然として揺るがないことに彼女はいら立ちを感じているのではないかと思いました。greenさんが仰るように、誰もがいいと思える生き方、100%ではないにしてもそれに近い選択ができる世の中が一番だと思います。(*^-^*)

本を読んでないのでずれた意見かもしれないのですが・・日本もまだまだ男性優位の社会であるように感じます。都会よりも田舎にいるとそれをじんじん感じます。10年以上前でしたが欧米人の男性にある街を案内していた時、通りかかったレストランで「レディースプラン」の表示があったんですね。女性だけ特別価格、デザートつきます、みたいなのです。これをみて彼は「なぜ女性だけ優遇されるのか、男性に対する差別じゃないか」って結構本気で怒っててびっくりしたんです。私はそれまでレディースセットをみてもなんとも思わなかったけれど、考えてみたら、こういうのって普段男性優位の社会で劣位にいる女性への埋め合わせ的なものかと気づきました。観察していると、世間の女性の管理職推進、役職への女性登用などの動きにもまだまだ男女間に大きな格差があることの表れのように感じてます・・・(;'∀') 

greengreenさん * by green
今日、この本を先生にお返ししました。それで、先生はこの本をどう思われたのか聞いてみたのですが、
先生も「共感できない」「私にはこんな経験がない」とおっしゃいました。先生は77年生まれで主人公よりも5歳年上なのです。
先生は、映画もご覧になったそうですが、内容に偏りがあって「腹が立った」とおっしゃってました。
確かに目に見えない差別、直接的でないにしても何気ない言葉で人を傷つける人、まだまだいるんだと思いますが、主人公のジヨンには不幸な出来事が多すぎるような気がします。先生は自分の母親の世代の話を聞いてるようだと言いました。

とはいっても・・根強い男女役割意識、まだありますよね。男性比率がまだまだ高い職業もたくさんあります。
男性と女性で受けられるサービスに違いがあるのも、確かに??かもしれませんね。

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書店で

書店でもよく見掛けます、アマゾンの評価も高いし。

性差による生き辛さは、状況は変われど、世界中にあるでしょう、
日本や韓国に比べ、酷い性差がある国も多いのではないでしょうか。
だから、我慢しなさいと言う訳ではないですが、

ただ、この主人公ジヨンの「じゃあ、あなたが失うものは何なの」や
他の発言に、自分だけが「割を食ってる感」が強すぎて、
何だかなぁ~と思いました。

自分が子供の頃、家に帰ると母が居る事が、ホッと出来たのですが
今の時代は、難しいのでしょうね。
2020-01-10-10:27 * おんだなみ [ 編集 ]

Re: 書店で

おんだなみさん、そうなんですよ~~~
言いたいことはわかるんだけど「なんだかな~~」というもやもや感は拭えないんですよね。
確かにそういう生きづらさはあるかもしれないけど、生きて行かなきゃならないんだし、
嘆いてばかりでは・・・という気持ちになってしまうのです。
2020-01-10-12:03 * green [ 編集 ]

No Subject

話題になっている本ですね。私も気になっていました。原書で読める語学力があるなんてすごい!韓国語の勉強をずっと続けておられるのですね。

20代の頃、韓国人の友人が多くいたのですが、当時の感覚では韓国の男女観って日本より一世代古い感じがしていました。日本より更に更にコンサバな感じです。日本社会と同じく今は随分変わったと思いますが、80年代に生まれた著者であっても男尊女卑社会に閉塞感を感じている?人がいるのですね。記事の中の夫の言葉を読んで、結婚しても男性に女性があわせることを前提にした価値観、人生観が男性たちの間では依然として揺るがないことに彼女はいら立ちを感じているのではないかと思いました。greenさんが仰るように、誰もがいいと思える生き方、100%ではないにしてもそれに近い選択ができる世の中が一番だと思います。(*^-^*)

本を読んでないのでずれた意見かもしれないのですが・・日本もまだまだ男性優位の社会であるように感じます。都会よりも田舎にいるとそれをじんじん感じます。10年以上前でしたが欧米人の男性にある街を案内していた時、通りかかったレストランで「レディースプラン」の表示があったんですね。女性だけ特別価格、デザートつきます、みたいなのです。これをみて彼は「なぜ女性だけ優遇されるのか、男性に対する差別じゃないか」って結構本気で怒っててびっくりしたんです。私はそれまでレディースセットをみてもなんとも思わなかったけれど、考えてみたら、こういうのって普段男性優位の社会で劣位にいる女性への埋め合わせ的なものかと気づきました。観察していると、世間の女性の管理職推進、役職への女性登用などの動きにもまだまだ男女間に大きな格差があることの表れのように感じてます・・・(;'∀') 
2020-01-11-14:38 * greengreen [ 編集 ]

greengreenさん

今日、この本を先生にお返ししました。それで、先生はこの本をどう思われたのか聞いてみたのですが、
先生も「共感できない」「私にはこんな経験がない」とおっしゃいました。先生は77年生まれで主人公よりも5歳年上なのです。
先生は、映画もご覧になったそうですが、内容に偏りがあって「腹が立った」とおっしゃってました。
確かに目に見えない差別、直接的でないにしても何気ない言葉で人を傷つける人、まだまだいるんだと思いますが、主人公のジヨンには不幸な出来事が多すぎるような気がします。先生は自分の母親の世代の話を聞いてるようだと言いました。

とはいっても・・根強い男女役割意識、まだありますよね。男性比率がまだまだ高い職業もたくさんあります。
男性と女性で受けられるサービスに違いがあるのも、確かに??かもしれませんね。
2020-01-11-21:33 * green [ 編集 ]