『砂の女』 安部公房 著
今、こういう状況で、『砂の女』を読むのは、精神的によろしくないのでは、とためらいつつも、ついつい引き込まれ、読んでしまいました。
ある男が、砂穴に埋もれる一軒家に、砂かきの労働力として捕らえられてしまいます。家が砂に埋もれてしまわないように、砂かきをする毎日です。
砂に埋もれないように毎日砂かきをして生きて行くなんて、あり得ないですよね。ナンセンスですよね。
男も当初は、馬鹿げている!と憤慨し、なんとか脱出を試みます。試行錯誤の末、脱出が成功するか!?と思いきやあえなく失敗に終わってしまい、また元の砂かきの生活戻ってしまいます・・・
人間とは恐ろしいもので、初めは、あり得ない!と考えていた砂かきの生活に、少しずつ適応していくんですね。小さなことに楽しみや喜びを見出していくんです。
男は、以前暮らしていた日常の出来事が気になって仕方がなく、新聞を欲しがります。ところが、次第に新聞なんてどうでもよくなり、しまいには新聞の存在さえ忘れてしまいまうのです。
・・・・・・
人間の順応力、適応力というものは、いいような、悪いような、です。
それは、今ある状況を生き抜く力ともなりますが、代わりに失ってしまうものもあるような気がします。
今、なるべく家にいるように、人との距離を置くように、と皆が努めています。最初は辛いなと思っていた自粛生活にも、様々な知恵と工夫で、適応できるようになってきたのではないかと思います。
人間って強いなって思います。
コロナウィルスがもたらしたこの状況が、私たちの意識や価値観、行動に、今後どういう影響を及ぼすことになるだろう、とふと考えたりします。
今外出するとき、ほとんどの人がマスクをしていますが、「外出時はマスク」「人と接するときはマスク」が当たり前になってしまったらどうしよう・・なんて余計なことなで考えたりして・・
そうそう、『砂の女』ですが、昔どこかの映画館で、映画を観たことがあります。岸田今日子さんが砂の家に住む女性の役でした。白黒作品だったような・・・
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最終更新日 : 2020-04-14
Re: 読みたかった~ * by green
おんだなみさん、是非読んでみてください。
人間の不思議な順応力に気づかされた小説でした。
今回のコロナウイルスで、人間はいろんなことを学んだのではないかと思います。
それを是非今後に生かしていきたいですよね。
人間の不思議な順応力に気づかされた小説でした。
今回のコロナウイルスで、人間はいろんなことを学んだのではないかと思います。
それを是非今後に生かしていきたいですよね。
本を紹介するラジオ番組で、「砂の女」が紹介されていて、
是非、読んで見たいと思っていました。
初めは、オカシイと思いながら、いつしか適応してしまう事って
世の中に多い事ですよね。
果たして、それがいいのか悪いのか、分かりません。
映画にも成ってるんですか、岸田今日子さん、ハマってますね~
greenさんが思っている様に、この世界的なコロナ危機で、
人々の意識や行動に大きな良い変化が現れる様な気もしますが、
3.11直後、省エネの名目で無駄な照明を減らしたのに、
結局は、元通りに成った事もあり、どうなのかなぁ~とも
思ったりします。