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2021-04-01 (Thu)  12:17

『飢餓海峡』 水上勉

映画『飢餓海峡』を観て、原作の小説『飢餓海峡』を読んでみたくなり、図書館で借りて読みました。
映画では描かれなかった登場人物の生い立ちや生き様が細かく書かれてあり、非常に読みごたえがありました。
飢餓海峡
映画でも八重という女性の、純粋さ、明るさ、健気さが伝わりましたが、小説からもそれを強く感じました。今の私たちからすれば、本当に辛すぎる境遇なのですが、八重さんは本当に健気で、そしてたくましい。体を売ることでしか生きていけない、しかも自分が生きていくためではなく、家族を養うために、年老いた父や幼い弟のために自分の体を犠牲にするのです。
同郷の時子さんの人生も辛かったな・・・読んでいて胸を締め付けられるようでした。
小説の中の人ではありますが、時子さんの冥福を祈りたい気持ちになりました。

犯罪はなぜ起こるのか、ということを深く考えさせられます。
もちろん、罪を犯す人の人間性もあるでしょうが、罪を犯さざるを得ない状況を作り出す社会にも大きな原因があることがわかります。
罪を償いいざ刑務所を出られたとしても、彼らが更生し社会できちんと生きていけるシステムが、当時の(昭和22年)日本にはほぼ皆無だったのです。
そして、罪を犯すのは、「生きて行く」ためなんです。文字通り必死で生きて行かなくてはならなかったんです。

社会が作り出した悲劇としか言いようがありません。

最後に弓坂刑事が、「事実の裏にある真実を知ることができた」と言います。
犯罪者を逮捕するだけが刑事、警察の仕事ではなく、なぜ罪を犯したのか、その裏にある真実をきちんと知らなければならない、という弓坂刑事の執念を感じました。

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最終更新日 : 2021-04-01

No Subject * by おんだなみ
映画に続き、小説も読まれたんですね。
やはり小説の方が、背景も含め詳細に描かれている様ですね。

現代の価値観で当時の事を評価する例が見掛けられますが、
それは、あまりにも表面的過ぎる様に感じます。
犯罪の理由と原因は、社会の問題、人間性など、それぞれあると思いますが、
真実を知ると言うのは、かなり難しい事の様な気もします。

ちなみに、私は、まだイントロ部分しか見れてません。

Re: No Subject * by green
おんだなみさん、小説は(映画の長さのせいもあって)最初は取っつきにくいかなと思ったのですが、
いい意味で予想外れで、ぐいぐいと引き込まれてしまいました。
状況説明が長いといえば長いのですが、その説明があってこそ事件の裏にあるものが
わかるような気がします。

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No Subject

映画に続き、小説も読まれたんですね。
やはり小説の方が、背景も含め詳細に描かれている様ですね。

現代の価値観で当時の事を評価する例が見掛けられますが、
それは、あまりにも表面的過ぎる様に感じます。
犯罪の理由と原因は、社会の問題、人間性など、それぞれあると思いますが、
真実を知ると言うのは、かなり難しい事の様な気もします。

ちなみに、私は、まだイントロ部分しか見れてません。
2021-04-02-10:50 * おんだなみ [ 編集 ]

Re: No Subject

おんだなみさん、小説は(映画の長さのせいもあって)最初は取っつきにくいかなと思ったのですが、
いい意味で予想外れで、ぐいぐいと引き込まれてしまいました。
状況説明が長いといえば長いのですが、その説明があってこそ事件の裏にあるものが
わかるような気がします。
2021-04-03-21:13 * green [ 編集 ]